江戸東京博物館様の大規模改修をパナソニックが支援
江戸東京の歴史と伝統文化の保存、都民文化創出の拠点である江戸東京博物館様が、1993年の開館以来初となる大規模改修を終え2026年3月末にリニューアルオープンしました。今回の改修は、施設老朽化への対応に加え、デジタル技術の活用など時代に適合した博物館施設への変化を目的に、約4年の歳月をかけ実施。建物の内外装の全面改修、展示の刷新とともに、館内の様々なシステム・設備の更新も行われました。パナソニックでは、館内の多岐にわたる映像関連システムの構築に設計支援から携わり、次世代の博物館へのリニューアルをサポートしました。江戸東京博物館 管理課の沓沢博行様は今回の改修について次のように振り返ります。「パナソニックさんには様々な博物館や、大規模施設におけるシステム構築の実績が多数あります。そのため国内でも屈指の大型博物館である当館においてもこれまでのノウハウを活かし、安定的に運用できるシステムを構築いただけるだろうということは大きく期待した点です。当館は開館当初よりパナソニックさんに映像系のシステム構築をお願いしており、また、10年前に部分改修を実施した際のご提案も素晴らしかったことから、今回も信頼感を持ってお願いすることができました」
ネットワーク化により映像システムの一元管理を実現
江戸東京博物館様では開館当初より映像資料を積極的に活用しており、各種映像・画像の編集・制作を内製で行える専用施設「AVセンター」を設置しています。現在は、館内各所のデジタルサイネージや図書室に併設された映像ライブラリーのコンテンツ管理など、博物館のデジタルコンテンツに関わる業務も中心的に担い、パナソニックの担当者が常駐して運用サポートを行っています。
「今回の改修では、映像系システムの全面的なネットワーク化を実施しました。以前は館内のデジタルサイネージとの接続にケーブルテレビ回線が使用されているなど、システムが混在し複雑化していた部分があり、統合的な管理・運用がしづらい状況でした。しかし今回、各システムがネットワークベースのものにアップデートされ、またAVセンター内に新設されたサーバー室にサーバーが集約されたことで、館内のあらゆる映像システムをAVセンターから一元管理できる環境が整いました。パナソニックさんには以前より常駐で運用支援をいただいており、従来のシステムや当館での運用を熟知されているからこそ、細かな部分の運用性にまで気を配ったシステムを構築いただけたと感じています」と沓沢様は話します。
デジタルサイネージの運用性をAcroSign®で向上
館内各所にはデジタルサイネージが設置され、各種インフォメーションや展示案内、ホール施設で行われる催しの予定などを来館者へ案内するインフラとして活用されています。その運用性を高めるため、新たな運用管理システムとしてパナソニックのデジタルサイネージシステムAcroSign®が採用されました。沓沢様はこのように話します。
「AcroSign®はPCの管理画面から簡単に表示コンテンツを入れ替えられるため、例えば屋外イベントが荒天で急遽中止になった場合も、タイムラグなく来館中のお客様へお伝えすることが可能になりました。表示コンテンツの管理は、ホール施設の利用予定を舞台管理事務所、その他の内容をAVセンターの分担で行っていますが、それぞれのPCから個別に操作できるため、複数の管理者がいる状況でもスムーズに運用できています。また、今回の改修ではチューナー搭載のコントローラーも採用しました。チューナー搭載によりTV放送への切り替えを容易に行えるため、災害発生時にニュース映像を即座に表示できるなど、緊急時の対応力向上も図ることができました」
AVセンター内観。デジタルサイネージ表示用のコンテンツや、映像ライブラリーに収蔵する映像の編集・制作から、アップロードまで一括で対応。
デジタルサイネージ表示用のコンテンツは映像編集ソフトを活用し、内製で制作している。
博物館のエントランスに縦置きで設置されたデジタルサイネージ。
特別展示室前のデジタルサイネージは天吊りで横向きに設置。
AcroSign®と映像ライブラリーのコンテンツの管理はAVセンターから実施している。上段がAcroSign®の管理画面、下段の2面が映像ライブラリーのコンテンツ管理用の端末。
AcroSign®のコントローラーは各ディスプレイの背面に格納されている。
ニーズに即した視聴環境を整備
博物館の7階には江戸東京に関する各種映像を視聴できる「映像ライブラリー」が設置されており、今回の改修では、ライブラリーシステム本体と視聴環境が全体的にアップデートされました。
「これまで映像ライブラリーでは約250本の当館オリジナル映像を収蔵・公開していましたが、リニューアルを機に、東京都が制作した映像を中心に約2,500本のコンテンツを追加公開することになりました。これを受けライブラリーシステムの刷新も必要になり、管理性や検索性が大幅に向上した新システムを構築いただきました。GUIの設計や検索時のページ構成、コンテンツへのタグの付与などを細かく検討いただいたお陰で、コンテンツ数が従来の10倍以上に増えた現在でも管理者・利用者の双方が快適に使用できています。また、衛生的で様々な人が視聴しやすい環境を整備したかったため、スピーカーを内蔵したソファ型の二人用席をご提案いただきました。ヘッドフォンを使わず複数人での視聴が可能になったことで、改修後は親子などグループで利用する来館者も多く見られるようになり、より幅広い視聴シーンに対応できる施設になりました」と沓沢様は話します。
映像ライブラリー全景。図書室内に併設され、映像コンテンツの視聴用に一人用席6席、二人用席4席が備えられている。
二人用席。背もたれのクッション部にスピーカーが内蔵されている。
一人用席。ヘッドフォンは使い捨ての耳カバーを装着し使用。
多数のホールに高機能な映像システムを導入
江戸東京博物館様の館内に設けられた大ホール、小ホール、会議室、学習室、レクチャールームは、博物館主催の催しの会場としてだけではなく一般への貸出施設としても活用されています。今回の改修では、これらの部屋の映像・音響設備も一新されました。沓沢様は新しく採用されたシステムについて「各部屋は実に多様な用途で活用されており、大ホールでは映画の上映会が行われたこともあります。今後さらに幅広いニーズに対応していくため、大ホール、小ホール、会議室には20,000 lmの高輝度投写が可能なプロジェクターPT-RZ24KJを導入しました。リニューアル後の博物館主催イベントで早速活用されており、以前のシステムと比較してかなり明るく、高品質な映像投写になったと感じています。また、各部屋へはイベント中のモニタリング用にリモートカメラを設置しており、舞台管理の担当者がネットワーク経由で室内の状況を遠隔で確認できるようになっています。以前は監視カメラとケーブルテレビ回線を使用し同様のオペレーションを行っていましたが、放送品質のリモートカメラを導入し、映像伝送をネットワーク化したことで、モニタリングだけではなくオンライン配信などにも対応できるシステムに生まれ変わりました。9月からは一般への貸し出しも再開しましたので、新たなシステムを一層活用していきたいと思います」と語ります。
369席を有する大ホール。
最大90名収容可能な会議室。
135席を有する小ホール。
大ホールに設置されたリモートカメラAW-UE50K。
会議室に設置されたリモートカメラAW-UE50W。
大ホール、小ホール、会議室は共通でPT-RZ24KJを導入(写真は小ホールのもの)
【AVセンター】 映像編集・統合管理システム...........................×一式
【館内案内システム】
- デジタルサイネージ「AcroSign®」.......................................×一式
- チューナー搭載コントローラー EM-JDSSC8TVA.................×14台
- Windowsコントローラー EM-JDSSC8EXA...........................×5台
- 4K UHD液晶ディスプレイ各種.............................................×計20台
【映像ライブラリー】 ライブラリーシステム、利用者用什器.....×一式
【ホール設備】
- 3チップ DLP®レーザープロジェクター PT-RZ24KJ..............×3台
- 4Kインテグレーテッドカメラ AW-UE50W/K......................×10台
「ワンストップの対応力」を心強く感じました
開館以来初の大規模改修が無事に終わり、リニューアルオープンを迎えられたことに非常にほっとしています。4年間の改修期間の内、最初の3年は建物自体の改修期間だったため、パナソニックさんには現場に立ち入れない状況のもと、システムの検討・構築を進めていただかなければなりませんでした。これは本当に難しく大変なことだったと思います。そのような中でも、我々の求めるものを丁寧に掘り下げ、新たなシステムを構築し納めていただけたことに非常に感謝しております。パナソニックさんには今回、当館の映像関連システムについて、ハード・ソフトウェア製品の納入に留まらず、システムの構築・施工から運用保守までトータルでご対応をいただきましたが、このような対応ができる会社は中々ありません。今後、導入したシステムを継続的・安定的に運用していく上でも、この「ワンストップ体制」をとても心強く感じています。引き続き当館の運営にお力添えのほど、よろしくお願いいたします。
公益財団法人 東京都歴史文化財団
東京都江戸東京博物館 管理課 事業推進係長
学芸員 沓沢 博行様
※所属はインタビュー時のものです。
江戸東京の伝統文化の保存、都民文化創出の拠点
江戸東京の歴史と文化を振り返り、未来の都市と生活を考える場として開館した江戸東京博物館様。約9,000 ㎡の広さを誇る常設展示室には、貴重な実物資料や復元模型・体験型資料が多数展示され、江戸時代から現代に至る約400年間の歴史・文化を来館者に伝えています。
■ 所在地:東京都墨田区横網1-4-1
■ URL:https://www.edo-tokyo-museum.or.jp/
江戸東京博物館様の常設展示室。今回の改修では明治時代の銀座を象徴する「服部時計店」(写真右側)が原寸大で再現された。
時代に適合した機能を備え、管理しやすく安定運用できるシステムを導入したい。
博物館施設等への多数の導入実績を有するパナソニックがシステム設計・構築を担当。これまでの知見を活かしたワンストップでの対応によりニーズに即したシステム構築を実現。
ハード・ソフトウェア製品の納入に留まらず、システムの構築・施工から運用保守までトータルでご対応をいただきました。継続的・安定的に運用していく上でも、とても心強く感じています。