- 3Dメガネなどを着用しなくても立体的なコンテンツ表示が可能。
- メッシュスクリーンは映像が透過するため、両側からコンテンツを観覧可能。
- 広色域化技術を採用し、30,500 lmの明るさを備えたPT-RQ35KJでコンテンツの魅力を忠実に再現。
- 超短焦点レンズの活用により、床に埋め込んだプロジェクター1台で高さ5 mのスクリーンへ投写可能。
- 柔らかく、軽量なメッシュスクリーンは可搬性に優れ、会期後の移設も簡単。
森のように大気中からCO2を取り除く「未来の森」
地球温暖化問題に対する研究・技術開発を行うRITE(公益財団法人 地球環境産業技術研究機構)様は、大阪・関西万博に「RITE 未来の森」を出展しています。同施設は管理区域であるカーボンリサイクルファクトリーに設置され、実証試験中のDACプラント(大気中のCO2を直接回収する装置)を見学できるほか、ガイダンスホールでは映像演出や展示を通じて最新の環境技術を学ぶことができます。そのガイダンスホールの映像表示に、メッシュスクリーンを活用した最新鋭のプロジェクション技術が採用されました。
映像の表示方法を工夫し楽しみながら学べる空間に
「未来の森」の名の通り、未来感を感じる施設をテーマに建設が進められ、動画上映においても単なる映像表示ではなく先進的な技術を活用しようと機器選定が行われました。VRゴーグルなども検討された中、来場者が何も装着しなくとも立体的な映像が楽しめるメッシュスクリーンに注目。没入感のある驚きの映像で、子どもも大人も楽しみながら学べる空間づくりが行われました。
メッシュスクリーンの活用で幻想空間を創造
メッシュスクリーンは、一見すると透明で何もない空間に見えますが、ひとたび映像が投映されると巨大なマッピングが宙に浮いているような印象を与え、来場者に驚きを提供します。3Dメガネなどを配布・回収する必要なく立体的な映像演出が可能な点は、万博という多くの人が訪れるイベントにおいて大きなメリットとなりました。また、スクリーンのどちら側からも観覧できるためスペースの有効利用にもつながりました。
超短焦点レンズにより、空間に調和する設置が可能に
投写するプロジェクターには、最新の広色域化技術を採用した30,500 lmの高輝度プロジェクターPT-RQ35KJを使用。クリエイターの求める色調を忠実に再現し、コンテンツの魅力を余すことなく引き出しました。レンズは投写距離を大幅に短縮することができる超短焦点レンズET-D75LE95を使用。これにより、プロジェクターを床下に隠しながら、高さ5 mのスクリーンに対し1台で投写することが可能になりました。プロジェクター本体がコンパクト設計な点も、設置時の柔軟性を高めることに貢献しました。
床に埋め込んだPT-RQ35KJで、メッシュスクリーンへ投写している様子。

超短焦点レンズET-D75LE95を装着し、床に埋め込まれたPT-RQ35KJ。

投映していない時のメッシュスクリーンは視界を遮らず空間に溶け込む。

メッシュスクリーンに投映するとコンテンツが立体的に浮かび上がって見える。


- 3チップDLP®レーザープロジェクター PT-RQ35KJ ×1台
- 固定焦点レンズ(超短焦点レンズ)ET-D75LE95 ×1台
- メッシュスクリーン(W4500 mm × H5000 mm)
この投映技術はさらなる可能性を秘めていると思います
当初、MR技術を活用したいと思い色々なシステムを検討していたところ、パナソニックさんの「東雲共創ラボ(東京都江東区)」を見学する機会があり、メッシュスクリーンに出会いました。ラボでメッシュスクリーンに投映された立体的な映像を見て「これは素晴らしい、すぐにでも使いたい」と感じました。
このスクリーンへの投写技術なくしては、今回のような没入感を出すことはできなかっただろうと思っています。実際に来場されたお客様が「どこに映像が映っているんだろう?」という表情でメッシュスクリーンに手を伸ばしている様子をしばしば見かけます。つい手を伸ばしてしまうほどの驚きを、感じていただけているのだと思います。
今回、メッシュスクリーンを使った技術を活用してみて、この演出手法のさらなる用途の広がりを感じました。博覧会はもちろん、音楽ライブや演劇などでも活用できそうですし、オーバーな話ですが、例えば屋外イベントでも、100メートルほどの巨大なメッシュスクリーンを製作して空中に吊るし、そこへ投映すれば、かつてないダイナミックな演出が可能になると思います。今後もぜひ、この技術を色々なシーンで使っていきたいですね。
「RITE 未来の森」プロデューサー/クリエイティブディレクター
株式会社乃村工藝社 鈴木 恵千代様

新たな空間演出を目指し、ぜひ今後もご一緒していきたいです
「RITE 未来の森」全体の設計思想を考えた時に、今回のガイダンスホールは単なる映像コンテンツを視聴するスクリーンではなく、空間と映像が融合した総合的な体験価値を提供する場として捉えていました。そんな中で、現実世界から解き放つものとして有効な手段は、やはりMRやVRの技術になってくるかと思いますが、MRやVRではどうしてもゴーグルのフレームが見えてしまいます。その点、メッシュスクリーンは視界に隔たりを生むことなくオブジェクトが浮いているような浮遊感をつくり出すことができます。また、スクリーンの両側から観ることができるため空間の奥行を感じさせる効果もあります。そういった意味では、メッシュスクリーンへの投映は空間全体を使ってコンテンツと融合することができる他にはない手法だと思いました。
今回メッシュスクリーンを利用するにあたり、体験価値の最大化を目指して「東雲共創ラボ」には何度も足を運ばせていただきました。ラボで度重なるテストをさせていただけたことは、今回のプロジェクトの成功において非常に大きかったと思っています。
パナソニックさんは映像演出の他にも照明や音響など、様々な知見を持たれていますので、ぜひ今後も幅広い視点からご一緒させていただき、新たな空間演出の手法を生み出していきたいですね。
「RITE 未来の森」プロデューサー・クリエイティブディレクター
株式会社乃村工藝社 小林 三夏様

革新的な技術開発で地球の未来を守る
地球温暖化問題に対する革新的な環境技術の開発を推進するRITE(公益財団法人 地球環境産業技術研究機構)様。大阪・関西万博では未来社会ショーケース「グリーン万博」シルバーパートナーとして協賛し、大気中のCO2を回収・吸収し、貯留・固定化する「ネガティブエミッション技術」の実証プラントを出展しています。
「RITE 未来の森」ホームページ:https://www.rite.or.jp/expo2025/
※「RITE 未来の森」の見学には専用予約サイトからの予約が必要です。
DACプラントのイメージ




