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14年連続でモバイルノートPCシェアNo.1(※)に輝く、パナソニックの「レッツノート」は、1台からのカスタマイズが可能なうえ、全機種が日本国内で一貫生産されている。人材不足や新たな付加価値の創造など、さまざまな課題が叫ばれる製造業において、顧客のニーズに応え続け、そこから得られた知見を生かして製造プロセスの改革を行っている神戸工場の取り組みを紹介する。

※出典:(IDC Japan Personal Computing Quarterly Model Analysis Share by Company, 2018Q1)13インチ未満ノートPCとコンバーチブルPC(2010~2017年はUltraSlim, Mini Notebookを除く)

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顧客との親密性をモノづくりに生かす

いまや、私たちの仕事に欠かせない存在となったパソコン。多様な働き方にともなう機能性や携帯性、過酷な環境下でも使える耐久性などをふまえ、製造メーカー各社はこれまで自社の商品を進化させてきた。

そんななか、特にビジネスユーザーのニーズに応え、高いシェアを獲得しているのがパナソニックのビジネスモバイルPC「レッツノート」だ。

レッツノートは1996年に誕生し、2002年には主にビジネスマンへ向けた製品へとモデルチェンジした。小型軽量、長時間のバッテリー駆動、光学式ドライブ内蔵といったビジネスモバイルPCに求められる性能を満たした同製品は、高い耐久性と堅牢性で多くの顧客から支持されている。その生産拠点となっているのが、今回訪れた神戸工場(兵庫県神戸市)だ。

「レッツノートの特徴は、企業のお客様の利用率が非常に高いことです。この神戸工場にも、毎年、海外を含めて約2000人ものビジネスユースのお客様がご見学・ご視察に来られます」

そう語るのは、パナソニックでビジネスモバイルPC事業を展開するコネクティッドソリューションズ社(以下、CNS社)の清水 実氏だ。

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インタビューに答える清水氏
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パナソニック株式会社 CNS社 モバイルソリューションズ事業部 プロダクトセンター所長の清水 実氏
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清水氏が統括する神戸工場では、ビジネスモバイルPC「レッツノート」の全機種と、海外で人気の高い頑丈ノートPC「タフブック」の一部商品を生産している。

水平分業によるOEMや海外発注が一般的となったパソコン生産だが、モバイルソリューションズ事業部では「ジャパンクオリティ=日本のモノづくり」に拘り、レッツノートの開・生・販・アフターケアすべてのプロセスを自社一貫で手がけている。

その中でも神戸工場は、国内では少なくなったメイン基板の部品実装から組立完成・検査のすべての生産工程を行うだけでなく、製品のWEB販売や、特定のお客様にはコールセンターを介する修理サービスまでも行う珍しい工場であり、工場の人間がお客様と直接会話することにより、どこよりも早く「お客様の声を現場に活かす仕組み」を整えている。

「神戸工場が大切にしているのは親密性です。すべての職能がお客様とダイレクトに会話をしてモノづくりに取り組む、『顧客密着型の工場』を運営しています」(清水氏)

高品質な多品種少量生産を支える製造体制

ビジネスモバイルPC に対する顧客のニーズは、機能やデザインなど実に多岐にわたる。それらのニーズに応えるため神戸工場では、「自動化」と「匠の技」を生かした高品質な多品種少量生産をはじめ、きめ細やかな製造体制を取っている。ここからはレッツノートの製造プロセスを見てみよう。

まずは基板実装エリア。表裏合わせて1000点から1500点ほどの部品が搭載されたプリント基板が自動実装機で生産される。主要ラインはMtoM(Machine to Machine)を導入し、機械同士が自動連携して、人を介さずに微細部品のズレを修正処理している。

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工場内の実装エリア
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メイン基板の実装エリア
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実装された基板は、アームを持った双腕ロボット「Zeus」の前へと移されて検査を受ける。

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工場内の検査エリア
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Zeusの視線の先には検査結果が表示されるディスプレイがある
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最新型の双腕ロボット「Zeus」は2本の腕に加えて、「目」となるカメラを3つ搭載しており、目で見て、基板ごとに適した検査治具への取付け、検査、モニターに表示される検査結果を見て適切なラックに収める。以前は、熟練作業者が自らの手で専用治具を用いて行っていた細かな作業や検査をロボットが行うことで、高品質化と製造のリードタイム短縮が実現した。

Zeusは実証段階でノウハウを蓄積しているところだが、将来的にはさらに進化したロボットと人が入り混じった「ハイブリッドアッセンブリ」で、製造ラインの最適化を進める予定だという。

実装と検査が済むと、いよいよ「人」の出番だ。

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工場内の組み立てエリア
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完成した基板は、「セル」と呼ばれる作業台が並ぶ組み立てエリアへと運ばれ、他の部品とともにパソコン本体に組み込まれていく。

作業者は1人1台のセルを受け持ち、自分の作業が終わると、組み立て途中の製品を次の作業者へ手渡す。生産量に応じてラインの長さ、形、本数を簡単に変化できるこの生産方法が、神戸工場ならではの「ライン型」と「セル型」の長所を合わせた「ラインセル生産」だ。
加えて、セルで使う部品や工具を交換すれば少人数で別の製品を生産できるため、「ラインセル生産」は、月によっては数倍の生産変動があったり、毎日数十回機種の切り替えを行う多品種変量生産に最適な生産方式といえよう。

さらに、ハードウェアやソフトウェアにかかるカスタマイズが必要な場合は、別フロアにあるコンフィグレーションサービスへと回される。

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コンフィグレーションサービス内の様子
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「ご要望があれば、メモリーの増設やストレージの容量変更、セキュリティ対策として指紋センサーの搭載など、さまざまなカスタマイズを用意しています。また、お客様のコーポレートカラーに合わせたカラーリング変更やトレードマークなどのプリント、シール貼り、電源を入れるだけですぐに使えるようにセッティングした状態でオフィスへレッツノートをお届けするなど、一品一様のサービスをご提供しています。」(清水氏)

顧客満足度を一層高める、徹底した品質管理

神戸工場で作られるビジネスモバイルPCや頑丈ノートPCが獲得する高い評価は、製品のあらゆる使用シーンを想定して行われる品質試験にも裏打ちされている。

例えば、オフィスデスクからの落下を想定した高さ76cmからの落下試験や、カバンに入った状態での落下を想定した高さ30cmからの落下試験。満員電車内などで受ける圧迫を想定した液晶ディスプレイ局部加圧試験。液晶ディスプレイの開け閉めを支えるヒンジ(液晶とキーボードをつなぐ部品)の耐久試験。荒天や埃の多い環境下での使用を想定した防滴・防塵テスト。また、電磁波測定テストなど、出荷後に想定されるさまざまなケースを想定した厳しい検査を実施している。

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品質管理試験の様子
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専用機器を使った高さ90cmからのタフブック落下試験(レッツノートの場合は高さ76cmで実施)
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品質管理試験の様子
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防滴試験では、試験装置で360度方向から水を浴びせるほか、専用ホースを使った放水、水深1mの水槽のなかに30分間浸すなど、さまざまな検査を受ける
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電波暗室の内部
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壁と天井に電波吸収材が敷きつめられた「10m電波暗室」を工場敷地内に設置。製品から発する電磁波が他の機器や人体に影響を与えないかテストし、すばやく計測結果を製造側にフィードバックする
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また、神戸工場では「KISSシステム(Kobe Intranet Solution of Super-production)」を利用し、組み込まれた部品の購入情報から、実装、出荷まで徹底した製品管理を行っている。

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「KISSシステム」の概要図
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製品管理を行う「KISSシステム」の概要図
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KISSシステムでは製品のシリアル番号を読み取ることで、生産された日時、部品のロット単位までたどることができ、万一、生産工程で不具合が発生した場合はアラームが発信される。出荷後については、世界中の修理状況から故障の予兆を把握できるシステムも導入しており、万一の問題が発生しても迅速な原因究明と顧客への対応が可能となる。

また、コールセンターでは神戸工場のスタッフみずからが顧客からの問い合せや相談に応対する。修理を通じて顧客とダイレクトにつながり、現場への即時フィードバックが可能になることで、製造プロセスにおける改善を加速。常に最高品質の製品を生み出すことで、顧客満足度の向上に努めている。

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工場内にあるタフブック
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生産ラインの管理には、頑丈ノートPC「タフブック」も活躍
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「日本のモノづくり」で故障ゼロの世界を目指す

製造ラインにおける自動化と匠の技、厳しい品質検査、1台1台の製品とつながる独自の管理システムなどさまざまな特徴を持つ神戸工場だが、それらを下支えするのは、やはり「顧客密着度」に尽きる。

さかのぼれば1990年代半ば、日本ではまだ高価なオフィス機器というイメージが強かったパソコンは、欧米ではすでにオフィス以外の現場作業でも使われ始めていた。そのような海外企業が望んだ「泥まみれの現場でも使える頑丈なパソコンが欲しい」という声が、パナソニックのビジネスモバイルPC、頑丈ノートPCづくりのルーツにあるという。
以来、神戸工場では「現場で『道具』として使えるパソコン」を目指し、堅牢性や耐久性、軽量化などを求める顧客の声をもとに、ビジネスモバイルPC「レッツノート」や頑丈ノートPC「タフブック」の開発・進化に取り組んできた。

それだけではない。神戸工場はみずからを「ショウルーム」と位置づけ、ビジネスユースの見学のみならず、小中高生向けの「手づくりレッツノート工房」や大学生向けの「PCカレッジ」などを開講するなどし、工場に新しい価値を持たせている。こうした活動の背景には「ジャパンクオリティ=日本のモノづくり」に対する思いがあると、清水氏は力説する。

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インタビューに答える清水氏
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パナソニック株式会社 CNS社 モバイルソリューションズ事業部 プロダクトセンター所長の清水 実氏
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「日本は世界に名だたる『モノづくり立国』です。そこには日本人ならではの手先の器用さだけではなく、勤勉さや、お客様へのおもてなしの心と、お困り事を解決し、お客様の笑顔を見たいという温かい気持ちが息づいています」(清水氏)

今後も「日本ならではのダントツ品質のモノづくり」を追求したいという清水氏が描く究極の目標は、「故障ゼロ」の世界だ。工場と顧客が持つ個々のパソコンをつなぎ、部品交換の必要性をAIなどで察知し先手を打つことで、部品の消耗や劣化による故障をゼロとする。それを2025年には実現したいと語る。

「数年前にタブレットが登場したように、モバイル端末は今後も多様化していくでしょう。どんな時代になっても、変化に対応できる人とロボティクスが融合した最先端のスマートファクトリーであると同時に、常にお客様とつながり、そのお困りごとを解決できるソリューションセンターでありたい。それが私たちの願いです」(清水氏)

事業のスタート時から、一貫して変わらない「お客様の声に応えたい」という強い思い。ビジネスモバイルPCの次なるスタンダードが、パナソニックの神戸工場から生み出される日が待ち遠しい。

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インタビューに答える清水氏
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パナソニック パソコンについて、詳しくはこちら

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国内で約1,000万人が従事すると言われる製造業はいま、人材不足や付加価値の創造など、さまざまな課題に直面している。そんななかパナソニックのビジネスモバイルPC「レッツノート」はいかにして作られ、多くの顧客の支持を勝ち得てきたのか。製造拠点である同社の神戸工場を訪ねた。
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「レッツノート」を生み出すパナソニック――顧客の細かな要望に応え続ける製造プロセスの強さに迫る
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「レッツノート」を生み出すパナソニック――顧客の細かな要望に応え続ける製造プロセスの強さに迫る
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取材・文:中野渡淳一、写真:山下拓也