Content bands
Body

物流新法への対応に直面し、多くの企業が「何から、どう着手すればいいのか」という悩みを抱えています。状況が千差万別の現場において、最適解を見つけるのは容易ではありません。こうした中、パナソニック コネクトは、課題解決のカギは「現場」にあると捉え、「現場起点」での変革を提唱しています。

同社において国内サプライチェーンマネジメント(SCM)事業を統括する山名義範と、海外ソリューションの日本展開を推進する小笠原隆志の2人に、日本企業が抱える構造的な課題と、顧客と共に踏み出す「最初のステップ」について、具体的な事例を交えて語ってもらいました。

Style selector
grey_background
Body

山名 義範(やまな よしのり)

パナソニック コネクト株式会社 現場ソリューションカンパニー シニア・ヴァイス・プレジデント 現場サプライチェーン本部 マネージングダイレクター
国内SCM事業の責任者として、現場ソリューションの提供を統括。Blue Yonderの日本事業立ち上げや人材育成も推進し、実行領域と計画領域の両面から日本のサプライチェーン変革をリードしている。

小笠原 隆志(おがさわら たかし)

パナソニック コネクト株式会社 現場ソリューションカンパニー 現場サプライチェーン本部 SCM事業センター ダイレクター
SCM事業の成長・立ち上げをミッションとし、海外グループのアセット(Blue Yonder、Zetesなど)を日本市場向けにローカライズして展開する商品企画や、カスタマーサクセス・営業サポートを担う。

Style selector
border
Title
AI記事要約 by ConnectAI
Body

※ConnectAIは、パナソニック コネクトが社内で活用している生成AIサービスです。

  1. 日本の物流が抱える構造的課題と「標準化」への転換
    現場の工夫により個別最適化が進んだ結果、独自システムが乱立しデータが分断。維持コストが高く新システムへの移行も困難に。パナソニック コネクトは「受託開発」から「Fit to Standard(標準化)」へ舵を切り、グローバル実績のあるパッケージを日本向けにローカライズして迅速導入を実現している。
     
  2. スモールスタートによる「可視化」から始める物流DX
    課題が不明確な企業には配送進捗管理システム「ZetesChronos™」などで現場の見える化を提案。福岡運輸では問い合わせ対応を月1,150時間削減、NX・NPロジスティクス舞浜倉庫ではBlue YonderのWMS導入で属人化を解消。トップのリーダーシップと現場への伴走支援が成功の鍵となっている。
     
  3. 物流データを「経営の武器」に変える実行系と計画系の融合
    倉庫や配送の実行系データを需要予測や生産計画などの計画系にフィードバックし、全体最適化を実現。CLO設置義務化も追い風に、物流データを経営判断や営業提案に活用することで、物流部門を「攻め」の部門へ進化させ、企業の競争力強化につなげる構想を描いている。
Style selector
dark
Body

「個別最適」の限界と、迫られる「標準化」への転換

Style selector
no_background
Style selector
one_col
Media Item
Media
パナソニック コネクト株式会社 現場ソリューションカンパニー シニア・ヴァイス・プレジデント 現場サプライチェーン本部 マネージングダイレクター 山名 義範
Caption
パナソニック コネクト株式会社 現場ソリューションカンパニー シニア・ヴァイス・プレジデント 現場サプライチェーン本部 マネージングダイレクター 山名 義範
Body

まず、物流新法への対応において、各社が直面している「壁」について教えてください。

山名:日本の物流現場には、非常に優秀な方々が多くいらっしゃいます。各地で工夫を凝らし、課題を解決し、独自の仕組みをつくり上げてきました。しかし裏を返せば、これは現場への依存が大きい「個別最適」の最たるものとも言えます。

それぞれの現場が個別に最適化され、独自のシステムが乱立し、データもバラバラ。つくり込まれたシステムを維持するためには多大なコストがかかり、新しい仕組みへの切り替えも困難になってしまっている。これが、日本の物流業界が抱える構造的な課題だと考えています。

Style selector
no_background
Style selector
one_col
Media Item
Media
国内物流市場の本質的な問題。人へ過度に依存した業務が状態化。この解消が全体最適化・生産性向上へのカギ
Body

小笠原:その構造的な課題に、さらに2024年問題や物流関連2法(物流総合効率化法、貨物自動車運送事業法)の改正への対応が追い打ちをかけているのが現状です。当社もかつてはお客さまの要望に合わせてシステムを一からつくる「受託開発」が主流でしたが、それではこの変化のスピードには追いつけません。

そこで私たちは、業界標準のパッケージを生み出し、お客さまの業務をそれに合わせていただく「Fit to Standard(標準化)」のアプローチへと大きく舵を切りました。グローバルで実績のある物流ソリューションを日本向けにローカライズし、迅速に導入することにしたのです。

具体的に、お客さまからはどのような相談が寄せられることが多いのでしょうか。

山名:大きく分けて2つのパターンがあります。1つは、「古いWMS(倉庫管理システム)を全面的に入れ替えたい」といった、方針が明確なケース。もう1つは、「何から手を付ければいいかわからないが、とにかく困っている」というケースです。後者の場合、特に「配送状況が見えない」「モノが追い切れない」といった現場レベルの具体的な課題を解決したいという声が多く聞かれます。

しかしヒアリングを深めていくと、「ベテランの経験則がブラックボックス化している」「倉庫内の業務フローすべてをきちんと把握し描ける人がいない」といった構造的な課題に行き着くことがやはり多いですね。

小笠原:肌感覚としては、課題が特定できているお客さまが3割、「どこから手を付ければいいかわからない」というお客さまが7割ほどかと思います。私たちとしては、後者のようなお悩みに対し、まず全体像をヒアリングし、ボトルネックを特定するところから支援しています。

Style selector
no_background
Style selector
one_col
Media Item
Media
パナソニック コネクト株式会社 現場ソリューションカンパニー 現場サプライチェーン本部 SCM事業センター ダイレクター 小笠原 隆志
Caption
パナソニック コネクト株式会社 現場ソリューションカンパニー 現場サプライチェーン本部 SCM事業センター ダイレクター 小笠原 隆志
Body

まずは「可視化」から始める。物流DXはスモールスタートが鉄則

「何から始めればいいかわからない」という企業に対し、どのような提案を行っているのでしょうか。

山名:私たちが最初の一手として提案するのは、現場の「見える化」です。

いきなり大規模なシステム刷新を行うのは、コストも時間もかかり、現場の負担も大きい。しかし、「荷物が今どこにあるのか」を可視化するソリューションであれば、比較的導入しやすく、お客さまにも効果を実感していただきやすいのです。

小笠原:具体的には、配送進捗管理システム「ZetesChronos™(ゼテス・クロノス)」の導入を提案することが多いです。全社一斉にではなく一部の拠点、トラック20〜30台規模から導入可能なため、スモールスタートには最適です。

バーコード検品により個品単位で管理できるため、誤配送や積み忘れも防止できます。また、物流関連2法で義務化された「荷待ち・荷役時間の記録」も自動化できるため、ドライバーや管理者の負担を大幅に軽減できる点も評価されています。

山名:当社の強みは、海外で実績のあるパッケージを提供しつつ、導入後の運用支援まで手厚くサポートする点です。単に外資のツールを入れて終わりではなく、現場に定着するまで寄り添う。日本の商習慣を理解し、「変えるべき運用」と「残すべき運用」を見極めてローカライズできる点が、お客さまから安心していただいています。
 

電話対応を月1,000時間超削減。トップダウンの導入がもたらした劇的な成果

そうしたスモールスタートによる導入の成功事例について教えてください。

小笠原:福岡運輸様の成果が好例です。同社はコロナ禍以降の冷凍食品需要の急増に対し、ドライバー不足や問い合わせ対応の工数増大という課題を抱えていました。そこで「ZetesChronos™」を導入した結果、問い合わせ対応工数が月間1,150時間、ドライバー間の連絡調整が月間2,760時間も削減されました。

Style selector
no_background
Style selector
one_col
Media Item
Media
物流全体を横断するデータ基盤。データ基盤を活用する構想
Body

劇的な効果ですね。導入はスムーズだったのでしょうか。

山名:想像以上にスムーズに進みました。そのカギは、経営陣の強いリーダーシップです。「業務を改革する」というトップのコミットメントがあったからこそ、現場への浸透がスピーディに進みました。また、パッケージに合わせて業務を調整していただけたことも大きかったです。

小笠原:現場の方々にとっては、新システムを導入するために、慣れ親しんだやり方を変更するのは抵抗感があるかもしれません。そこでスムーズに導入を進めていくためには、これまでの業務プロセスや意識を変える「チェンジマネジメント」が不可欠になります。トップがその重要性を理解し、現場と一緒に取り組む姿勢を見せてくださったことで、短期間でこれだけの成果が生まれたのだと思います。
 

業務の標準化により「ベテランの勘」から脱却

倉庫内業務においても、同様の変革が進んでいると伺いました。

山名:NX・NPロジスティクス様の舞浜倉庫の事例があります。我々も関与しながら、新しいソリューションの実証と人材育成を行っている拠点なのですが、導入前はいわゆる「アナログな現場」でした。

「商品Aはここに置く」という決まりがありながら、空いていなければ別の場所を探し、棚札に記載するといった、属人的で手間の多いオペレーション。これでは、現場を熟知したベテランでなければ効率的に動けません。

小笠原:そこで導入したのが、Blue Yonderの倉庫管理システム(WMS)です。システムが商品のサイズや数量、在庫位置を正確に把握し、ハンディターミナルを通じて「Aという商品はここに入れてください」「次はこれをピッキングしてください」と、最適なルートと手順を作業者に指示します。これにより、作業に習熟していない方でも、ベテランと遜色ないスピードと正確さで作業できるようになる事が期待されます。

Style selector
no_background
Style selector
one_col
Media Item
Media
NX・NPロジスティクス株式会社様、舞浜倉庫の事例
Body

山名:海外パッケージが優れている点は、人材の流動性を前提につくられていることです。新しいスタッフが配属されても、システムに従えばすぐに作業に取り組める。「属人化」から脱却し、誰がやっても高い品質で業務が回る「標準化」された仕組みをつくること。これが、物流DXの核心部分だと考えています。

舞浜倉庫でのBlue Yonder導入は、2025年10月にWMSが稼働開始した比較的新しい取り組みであるため、今回は現地での導入支援に携わる古屋に、円滑な業務フローの転換を行うために注力していることを紹介してもらいましょう。

Style selector
no_background
Style selector
one_col
Media Item
Media
パナソニック コネクト サプライチェーン事業総括部 ソリューション導入推進部 古屋 結
Caption
パナソニック コネクト サプライチェーン事業総括部 ソリューション導入推進部 古屋 結
Body

古屋:私は、現場でシステムを使いこなしていただけるように、お客さまである現場管理者の方々へのトレーニングや、運用のサポートを担当しています。

Fit to Standardのアプローチで業務をシステムに合わせていただくには、「慣れている運用に戻したい」という現場の抵抗感を払拭する必要があります。実際に、当初は一部で紙を使った元のオペレーションに戻ってしまうということもありました。

そこで重要になるのが、私たちが倉庫業務全般を深く理解し、お客さまとの信頼関係を築くことです。私は現地で働いていらっしゃる方々の名前と顔を覚えて積極的にコミュニケーションをとる、横文字の多い専門用語ではなく現場の方が普段使っていらっしゃる言葉に「翻訳」して伝えるといったことを心がけています。操作の質問などに対応するだけでなく、当社でも現場やWMS上で庫内の運用状況を確認し、非効率な部分があればヒアリングを行い、改善提案も行っています。単にシステムを導入するのではなく、現場に寄り添い、成功するまで伴走することが、真の業務フロー標準化には不可欠だと考えています。

Style selector
no_background
Style selector
one_col
Media Item
Media
倉庫内で現場担当者と対話する古屋
Caption
倉庫内で現場担当者と対話する古屋
Body

物流データは「経営の武器」になる。CLOが主導すべきサプライチェーン改革

ここまで、可視化や標準化といった現場の「実行系」システムの改善についてお話を伺ってきました。残る「計画系」については、どのような展開を考えていますか。

山名:私たちが目指しているのは、「実行(Execution)」と「計画(Planning)」の融合です。これまでの日本のサプライチェーンマネジメントは、工場は工場、物流は物流と、組織ごとに分断されがちでした。しかし、パナソニック コネクトは、現場の実行系ソリューションと、サプライチェーン全体の計画系ソリューションの両方を持っています。これをつなげたいというのが、私たちのビジョンです。

たとえば、倉庫でのピッキングや配送といった「実行系」で得られたリアルなデータを、「計画系」にフィードバックできたらどうなるでしょうか。返品の発生率や配送遅延の状況といったデータを、上流の需要予測や生産計画に即座に反映させる。それができれば、より精度の高い、全体最適化された物流DXが実現するはずです。

Style selector
no_background
Style selector
one_col
Media Item
Media
グローバルで実現されているサプライチェーンの全体最適化
Body

小笠原:経営的な視点で見れば、物流データは経営判断や営業活動に活かせる「宝の山」です。たとえば配送データを分析することで、お客さまに対して配送頻度の最適化を提案できるかもしれません。もっと言えば、高精度の需要予測を提供することで、お客さまの事業計画そのものに貢献できるかもしれない。こうしてデータドリブンな提案が可能になれば、物流業務の改善は単なる効率化にとどまらない、新たな価値を生み出せるようになります。

物流を「コストセンター」ではなく、競争力の源泉に変えていくわけですね。

小笠原:その通りです。日本では製造・物流・販売が縦割りになりがちですが、2026年4月からは大手の荷主企業に対してCLO(最高物流責任者)の設置が義務付けられるなど、経営視点でサプライチェーン全体を見直す必要性も出てきています。

法改正への対応などで「やらなければならない業務」が増え、負担を感じている現場の方も多いかもしれません。しかし、私たちはこれを「チャンス」だと捉えていただきたいのです。物流データを可視化し、経営に活かすことができれば、物流部門は会社全体の利益に貢献する「攻め」の部門へと進化できるはずです。

山名:これからの時代、AIなどのテクノロジーを活用できる企業とそうでない企業の差は、ますます開いていくでしょう。データさえあれば、AIエージェントが「明日の荷量は急増する予測が出ているので、人員配置をこのように変えましょう」と提案してくれる未来は、すぐそこまで来ています。

今回はサプライチェーンにおける「実行系」の話がメインでしたが、Blue Yonderは需給計画など「計画系」にも強みをもつソリューションです。こちらについても日本国内での導入が円滑に進められるよう、担当社員のトレーニングを急ピッチで進めています。倉庫内、倉庫間、そしてサプライチェーン全体と、現場から経営までを一気通貫で支援するパートナーでありたいと考えています。

私たちは、物流新法への対応を単なる「義務」で終わらせず、自社の変革と成長につなげる機会にしていただきたい。そのために、現場から経営までを一気通貫で支援するパートナーでありたいと考えています。

Style selector
no_background
Body

パナソニック コネクトからのご提案

当記事で取り上げた物流関連2法(物流総合効率化法、貨物自動車運送事業法)の改正に伴い物流業界に求められている対応要件や、新法に対応するパナソニック コネクトの製品について、こちらのウェブサイトで詳しくご紹介しています。ぜひご覧ください。

物流新法を成長の起点に ~現場から始める全体最適化~

Style selector
border
Body

「gemba」読者アンケート​

いただいた回答を今後の運営に活用させていただきます。なお本フォームにご氏名やメールアドレスなどの個人情報は記入しないでください。​

回答​はこちらから

Style selector
grey_background
Meta description
物流新法への対応を成長の好機に。現場の「個別最適」を脱し、可視化と標準化で物流DXを成功させる「現場起点」の変革とは。
Header image
Display title
物流新法は成長のチャンス。日本の物流を強くする「現場起点の変革」とは
URL alias
/gemba-supply-chain
Header Type
standard_image
Metatag thumbnail image
物流新法は成長のチャンス。日本の物流を強くする「現場起点の変革」とは
Author Information
文:松本 友也、写真:池村 隆司